無期転換ルールへの対応は、自社で抱える有期労働者の状況を把握したうえで方針を決め、労働者に丁寧に伝えていくことが肝要となる。実務対応の具体的なチェックポイントをここで解説していきたい。

有期労働者の現状を把握

「無期転換ルール」は、同じ会社で5年以上有期労働を続けたら、無期雇用への転換権が労働者側に与えられる制度である。その対応として、会社(使用者)がまず行うべきは、各事業所で雇っている有期労働者の状況把握である。このまま契約を更新すると無期転換の権利が、いつ、何人に発生するのかを調査することである。

大きな会社には「何年に入社」などの情報を参照できる人事情報の管理システムがある。ただ、そうしたシステムは正社員に限られており、有期労働者の場合は紙ベースになっていることが多い。そうなると社会保険の記録などで拾っていくことになる。地道な作業だが、事業所ごとに責任者を決めて調べさせることが最初の一歩となる。

現状を把握したら、次に対応方針を決める。他社の物まねではなく、将来を見据えた人材活用戦略を踏まえたうえで決めるべきであろう。ここでは大別して「無期転換は困る(受け入れない)」と「無期転換を受け入れる」との二つのタイプで見ていく。

無期転換を受け入れない

無期転換は困る、有期労働者そのままで労務管理をしたい、というときはどうするか。私が相談を受けた中には、無期転換をさせないよう転換後に賃金が下がる仕組みを考えていた会社もあったが、好ましくない。仮に、「その仕組みはおかしい」と労働者側が訴えて争いになったら、会社側が負けてしまうおそれがある。また無期転換権を本人に事前に放棄させるような契約を結ばせることも、実務上不可とする見解が有力だ。