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今も残る明治維新の呪縛 靖国神社で異例人事

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政府が催す明治改元150年記念式典を控える中、靖国神社の宮司が3月1日付で徳川康久氏から元伊勢神宮禰宜(ねぎ)の小堀邦夫氏に交代した。徳川氏は定年の75歳まで5年以上を残しての自主退任で、極めて異例の宮司人事である。

共同通信のインタビューに答える靖国神社の徳川康久前宮司(2016年)(共同通信)

一部報道によると徳川氏は退任理由を「一身上の都合」としているようだが、関係者の間では戊辰戦争や明治維新に対する同氏の歴史認識が遠因ではないかという見方が大勢だ。

徳川氏は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜のひ孫。学習院大学を卒業後、石油会社に勤めたが退職し、国学院大学で神道を学び、神職に。2013年、定年退任した京極高晴氏の後任として就任した。16年の共同通信インタビューで戊辰戦争に関して「幕府軍や会津軍も日本のことを考えていた。ただ、価値観が違って戦争になってしまった。向こう(明治政府軍)が錦の御旗を掲げたことで、こちら(幕府軍)が賊軍になった」と述べた。

この発言だけであれば、問題とはならなかったのかもしれないが、インタビューに呼応するように同年10月、亀井静香元金融担当相、石原慎太郎元東京都知事らを中心とする政財界人の有志が、幕府軍や会津藩の将兵、西南戦争などで死亡した西郷隆盛ら「賊軍」とされた人々の合祀を徳川氏に申し入れ、「賊軍合祀」の是非が取りざたされる事態となった。

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