エコノミストの多くは、AI(人工知能)の進化が長期のトレンド成長率に与える影響を無視している。長期金利のベンチマークとなる米国10年債の利回りはここ数カ月間で0.5%ポイントほど水準を切り上げてきた。にもかかわらず、物価調整後の実質金利が極めて低い水準にとどまっているのは、経済成長への悲観論が一因になっていると見て間違いない。

経済学者の悲観論は、長期の成長率に集中している。背景には、1995〜2005年に米国が経験したような力強い成長を先進国が再現するのは不可能だ、との確信がある。50〜60年代のような高成長期となれば、なおさらだ。

だが、これとは違った見方がさまざまな専門領域にわたって数多くの科学者から出されている。悲観論に取りつかれたエコノミストは、この事実をよく考えてみなければなるまい。AIの基礎研究はかつてないスピードで進んでいるとの手応えを、特に若手の科学者は得ている。実際、小さいが影響力を持つある科学者集団は、数学者フォン・ノイマンの「シンギュラリティ理論」を広めている。知能を持った機械の完成度が高まり、人間の手を経ずとも機械が自ら新しい機械を生み出す能力を持つ日が訪れ、技術進化が突然爆発的に進むようになるという理論だ。