無期雇用への転換は、あくまで対象となる労働者が希望することが前提だ。会社側の話だけを真に受けて行使を怠ってしまっては、せっかく認められた権利が宝の持ち腐れとなりかねない。想定される会社側の妨害への対応策を、日本労働弁護団幹事長の棗(なつめ)一郎弁護士がケーススタディ方式で解説する。

イラスト:シライカズアキ

無期転換を希望したら、上司から「余裕がないから無理」と言われた

こうした対応は中小・零細企業では少なくないかもしれないが、まったく話にならない。このルールは会社に余裕があろうがなかろうが、対象者なら無条件に権利行使できる点がポイントだ。

無期転換を希望するなら辞めてもらうと言われたら、それは典型的な無期転換を回避するための雇い止めに当たる。労働契約法(労契法)19条で、雇い止めが有効であるためには、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければならないとされている。

無期転換ルールを定める労契法18条は、有期労働者の雇用の安定を確保するために制定された。そのため無期転換を免れるために雇い止めをすることは、客観的に合理的な理由があるとも、社会通念上の相当性があるともいえない。

仮に雇い止めが強行されて訴訟や労働審判手続きで争い、無効となった場合、5年を超えて更新したといえる場合には、希望すれば無期労働契約に転換される。そのため5年を超えることが予想される場合は、係争中であっても更新申し込みとは別に、無期転換申し込み権を明確に行使しておく必要がある。

希望するなら遠隔地配転だ、嫌なら辞めろと退職勧奨をされた