【今週の眼】太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
おおた・そういち●1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

3月2日に総務省が発表した1月の完全失業率の数値は驚くべきものだった。季節調整値で2.4%という数字は、1993年4月以来の低水準。2017年12月の2.7%から0.3%ポイントの大幅ダウンである。本当に雇用環境が急激に改善し、失業者が減ったのだろうか。

まず、就業者数と失業者数はどう変化したのか。完全失業率は、両者の合計(労働力)に占める失業者数の割合だから、たとえ失業者数が減らなくても、就業者数が増えれば低下する。調べてみると、就業者数の伸び率は非常に小さかったが、失業者数は1割強の減少であった。つまり、この間の完全失業率の低下のほとんどは、失業者数の大幅な減少によって説明される。

失業者は、就職先を見つけて失業状態から脱する人だけでなく、職探しをあきらめて非労働力人口になる人が増えても減少する。したがって、前月失業していた人のうちで今月就職した人の数や非労働力人口になった人の数などを把握して検討する必要がある。