まつい・ただみつ●1949年生まれ。73年東京教育大学(現・筑波大学)卒業、西友ストアー(現・西友)入社。91年良品計画出向、92年入社。2001年同社社長、08年会長。15年から名誉顧問。(撮影:大澤 誠)

西友のプライベートブランド(PB)から始まった良品計画に、私は“左遷”された。1991年のことだった。若い時分は学生運動にのめり込んでいた性分で、西友にいたときも権威に逆らって非主流派にいたためだろう。良品計画の当時の上司からは「おまえがちょうど浮いていたから採用した」と聞かされた。

当時はアパレルを中心にニーズが細分化する方向に進んでいた。お客さんの価値観が多様化し、一人ひとりが自分の価値観で物を選んで購入する。だが、無印良品はそんな中で反対の方向を進み、すべての思いを一つのブランドに入れていった。余分な飾りや機能、複雑なデザインはいっさいなし。シンプルで天然素材を生かした商品によって、多くの人に共通する本質での生活を提案する。