多くの融資を担当した横浜東口支店

700人もの所有者(オーナー)を破産の危機に追い込んでいるシェアハウスをめぐるトラブル。大半のオーナーに取得資金を融資したスルガ銀行(静岡県沼津市)の審査手続きが適切だったのかを問う声が上がっている。

問題となっているのはスマートデイズ(東京都中央区)が運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」。「高い家賃を30年間保証する」などと勧誘された会社員らが1棟当たり約1億円の融資を受けて、一括借り上げ(サブリース)契約を締結した。ところが昨年10月に突然家賃が減額され、今年の1月からは、家賃がまったく支払われない事態に陥っている。

ある不動産業者は2016年11月、スマートデイズの担当者から物件リストを渡され、「何とか空室を埋められないか」と相談されたという。「実地でも調べたが、想定した賃料では埋まらないような物件ばかり。半年持たないと思った」と打ち明ける。

スマートデイズは家賃に加えて、入居者の女性に仕事を紹介する人材斡旋料があるなどと「脱・不動産事業の新ビジネスモデル」を喧伝していた。だがその実態は、相場よりも高くオーナーに土地・建物を売って、そのカネを不足する家賃支払いに回す「自転車操業」だったようだ。

ニッチに特化し高収益

2億円を超える借金を抱えた30代の男性は「スルガ銀行の融資判断自体を一つの信用と受け止めていたのに」と憤る。

スルガ銀行は、建物の耐久年数を超える長期の融資など、他行が躊躇するような不動産向け案件を積極的に手掛けてきた。

その特徴は「早い・長い・高い」。「独自の審査基準や商品があるため融資回答が早く、融資期間は長く、貸付金利は高い」(あるアナリスト)。地方銀行全体が低金利に苦しむ中、厚い利ザヤを背景とした収益力の高さは群を抜く存在だ。

だが今回の融資では、提出した預金通帳の写しなどに改ざんがあったと多くのオーナーが声を上げている。「スマートデイズ被害者の会」が実施したアンケートでは、72人中60人が書類の改ざんなど不正の疑いがあったと回答した。誰の手で不正が行われたかは不明だが、もし与信の可否を左右する信用力を確認する書類に改ざんがあったのならば、誤った判断で融資が実行された可能性がある。

融資を受ける際に使途自由のフリーローンを借りたオーナーも多い。7.5%の金利でローンを借りた50代の男性は「スキームが自動的に出来上がっていて、仲介業者からフリーローンと定期預金の契約をセットで求められた。少なくとも2年間は解約しないよう言われた」という。

スルガも業者の勧誘状況など調査に乗り出した(提供元「サブリース問題解決センター」)

スルガ銀行は2月22日に顧客にアンケートを送付(上写真)して実態把握を進めている。東洋経済の取材に対しては、調査中を理由に回答を控えた。いまだシェアハウス向けの融資がどれだけあったのかすら、わからない状況だ。

個人向け融資のニッチ分野に特化して地銀経営の「ベンチマーク」と称されてきたスルガ銀行だけに、自ら融資実態を解明して説明することが求められる。

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