過日、とある市民セミナーで講演をしてきた。中国の歴史的な性格を話してください、という依頼だったので、さんざん迷ったあげく、儒教をテーマにした。しかし筆者の言いたいことが、どこまで伝わったかは定かではない。

実は筆者は思想哲学が大の苦手、儒教にかぎらず、経典や教義を読むと、頭が痛くなるタチである。若いころ、その種の本をほとんど受け付けないので、歴史、しかも社会経済史を専門にしたいきさつがあった。いまも自身の苦手意識は、あまりかわっていない。けれども少しは勉強したほうがいい、と思い直している。

多様な儒教のイメージ

幸い日本の中国学は世界に冠たる水準で、儒教の経典はひととおり翻訳がそろっているし、その注釈書や説明書も少なくない。初学者でもそこから、かなり詳しいところに入っていけるし、研究や概説もたくさんあるので、かなり専門的なこともわかる。苦手な筆者でも、最近は関心をもてるようになってきた。過日の講演は、そんな興に乗っての話だったのである。