自動車業界の事業環境が大きく変わることを意識し、以前からビジネスモデルの転換の必要性を訴えてきた産業革新機構の志賀俊之会長。日本の自動車業界に求められる戦略を聞いた。

しが・としゆき●1953年生まれ。日産自動車の常務執行役員、最高執行責任者を経て、2015年から現職。日産の取締役も兼任。(撮影:梅谷秀司)

──日本の自動車産業には転換が必要だと思うようになったきっかけは何だったのですか。

私自身、日本メーカーの薄型テレビのプレゼンスが低下したことに非常に関心があり、数年前、いろんな家電メーカートップの方と話をした。すると、ある方が「今の製品はICチップ1つで性能が決まりますから」と言った。これを聞いて、自動車でソフトウエアの存在感が高まれば、ハードウエアのすり合わせが得意な日本の自動車産業も危うくなりかねないと思うようになった。

当時はグーグルが自動運転の開発を始めたり、アップルの電気自動車開発が報じられたりしていた。ITの巨人たちが来て、ハード中心だった自動車メーカーは及びもつかない世界になるのではないか、という危機感も強まった。

系列を超えた取り組みを