レムチャバン港近くの鉄道駅。現在はのどかな風景が広がる

タイに浸透する中国の一帯一路

熱帯雨林が広がるラオスの山奥に、“中国”がひしめく奇妙な場所がある。

赤い看板は、そこが中国の交通インフラ企業、中鉄五局の現地拠点であることを示す。近くの工事現場には黄色い車体に黒字で「SANY」という文字も見える。中国建設機械大手の三一重工のパワーショベルだ。

そしてクレーンの先には、建機を圧倒する巨大な生き物がゆったりと歩みを進める。2頭の象だ。

象と建機──。

ラオスと中国の圧倒的な国力の差をまざまざと見せつけるラオス山中の建設現場。そこでは中国が主導する、ある国家プロジェクトがひそかに進んでいる。

中国雲南省を起点にラオスのビエンチャンまでを高速鉄道で結ぶ「中国ラオス鉄道」計画である。ラオス国内の走行距離は414キロメートルという、ラオスにとって史上最大規模となる国家プロジェクトだ。建設予算は374億元(6300億円)と、ラオスのGDP(国内総生産)の4割に相当する。うち70%を中国が負担するといわれている。完成は2021年末の予定だ。

人口約700万人という小国ラオスに中国南部から鉄道を走らせ、乗客や貨物の需要を満たすことに経済合理性は果たしてあるか。少なくとも短期的にはNOだろう。