「銀行窓口でお客さんが入金するとき、赤い伝票にお客さんの名前と入金額を書かせているやろ。あれは何でや?」

15年前、そう尋ねられたことを今も鮮明に覚えている男がいる。りそなホールディングス(HD)傘下の関西みらいフィナンシャルグループ(FG)の社長、菅(かん)哲哉だ。

菅は15年前、りそなHDのコーポレートガバナンス事務局で社外取締役の担当を務めていた。冒頭の質問を発したのは、りそなHDの社外取締役の一人だ。

菅はこう答えた。「金額が違って後でトラブルになるといけないからです」。しかし、社外取締役はさらに畳みかけた。「じゃあ君はトラブルがどれくらいの確率で起きているか、調べたことはあるのか?」。菅は言葉に詰まった。

問答はさらに続いた。レストランに入ってカレーライスを食べたら、普通はレストランがレシートを渡してくれる。銀行の場合、通帳に金額を記入するのでそれをレシート代わりにすればいいのではないか、と。

菅は心底感服したように話す。「『明日から赤い伝票をなくせ。不要!』と、まぁこんな感じですよ。この15年のうちの10年間、私は社外取締役の発言を聞いてきたが、随分刺激を受けたし、今も受けている。銀行の中にいたのでは出てこない発想がどんどん出てくる」。

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