いし・ひろみつ●1937年生まれ。一橋大学経済学部卒業、同大学院で博士号取得。同大教授を経て学長。財政制度等審議会委員、政府税制調査会会長、放送大学学長などを歴任。(撮影:尾形文繁(2012年) )

小泉純一郎首相のときは、絶好のチャンスだった。

支持率は一時8割を超え、国民から抜群の人気があった。政権は安定していた。景気も回復してきた。彼ならば消費税率の引き上げができたはずだった。

でも、やらなかった。「痛みの伴う改革をする」と口では言っていたが、本当にやらなければならないことからは逃げたんだ。

ちょうど私が政府税制調査会の会長をしていた時期(2000〜06年)は小泉政権時代とほぼ重なっていた。よく話をする機会もあったのだが、「俺は上げない」って。そう私たちの前で小泉首相は言ったんだ。がっかりしたよ。そうして5年半にわたる長期政権の間、ずっと消費増税は棚上げになってしまった。