老舗の百貨店、高島屋の地方店である「高崎高島屋」(群馬県高崎市)では、あるテナントの誘致が長年の念願だった。

高崎高島屋は1977年の開業当時から取引のある顧客が多く、全体に占める外商売上高比率が2割と高い。その外商顧客から、室町時代創業の高級和菓子店「とらや」(本社・東京)の誘致を熱望され続けてきた。地元では「東京の有名ブランドを贈り物にしたい」との需要があるものの、北関東にとらやの店舗はなかった。

何としても「とらや」を 一発逆転のプレゼン

地方百貨店にとって、全国的に有名なとらやはのどから手が出るほど出店してほしいブランドだ。「ほとんどの地方店が誘致の要請をしている」(業界関係者)ともいわれる。だが、請われるままに店舗網を広げることは、ブランド力の低下につながりかねない。

高崎高島屋は10年にわたって歴代店長が誘致交渉に挑んできたが、まったく相手にされなかった。今から5年前に、東京・日本橋店の食品フロアから同店に転籍した及川智子副店長も10回以上交渉の席に着いたが、相手は決して首を縦に振らない。

とらやに出店してもらうには、高崎に進出する「意義」を説くしかない。及川副店長は考えに考えた。本やネットで情報を集め、新たなプレゼンテーション資料を作っては、しっくりいかずボツにする。そんな日々が続く中、及川副店長は読みあさった資料で群馬ととらやの意外な接点を知った。