適温経済の流れを崩したのは米国金利の上昇だった。

引き金となったのは2017年12月下旬のトランプ大型減税の成立だ。これにより、世界経済が一段と拡大するとの見通しが強まり、インフレ期待が高まった。この期待インフレ率を上乗せする形で米国の長期金利は上昇を始めた。

[図表1]

同じころ債券市場では、市場やFRB(米国連邦準備制度理事会)の出方を試す動きがあった。「投機筋が債券売り(金利は上昇)のポジションに傾いた」(SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジスト)。

インフレ期待や名目金利の上昇は、臨界点を超えると景気や企業業績にマイナスとなる。賃金上昇を招いて企業の利益を圧迫したり、利払い費の増加につながったりするからだ。

だが、より重要なのはそこから先の動きである。実際にインフレが進めば、その加速を恐れてFRBは利上げペースを引き上げることになる。これは実質金利(名目金利−期待インフレ率)の上昇に直結する。

実質金利上昇の威力は、先述した名目金利の上昇よりも大きい。企業が設備投資を行う際の期待投資収益率のハードルが上がって投資を冷やすほか、資産価格の算定で使われる割引率が上昇するため株式や不動産などの資産価格の下落要因となる。

FRBは利上げの姿勢を変化させるか

では、インフレ期待を背景とした長期金利の上昇がどこまで進めば、景気拡大終焉のシグナルになるのか。またFRBは、利上げの姿勢を変化させるのか。