【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

安倍一強の下で政策決定はますます「官邸主導」が鮮明になっている。しかし、官邸主導の現状は本来求められていた姿から大きく乖離しているのではないか。

自民党長期政権時代の政策決定は、官僚が立案し自民党の政務調査会が審議する形で進められるのが普通だった。一方、こうした方式には(1)根回しなどに時間がかかりすぎる、(2)決定が密室で行われ透明性に欠ける、(3)族議員の政治的思惑で政策が歪められる、といった批判が付きまとっていた。

こうした批判に応えるため、橋本龍太郎政権の頃から模索されてきたのが官邸主導であり、その一つの完成形が小泉純一郎政権における経済財政諮問会議の活用だった。この時期の主な経済政策は諮問会議で議論され、政策決定がスピードアップされるとともに決定過程の透明化が大きく進んだ。