【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

内閣府が新しい中長期の経済財政に関する試算を1月に公表した。向こう10年の日本経済と財政の動向に関する試算であり、アベノミクスの成功(脱デフレと経済再生)を想定した「成長実現ケース」と、足元の経済状況(潜在的経済成長率)を踏まえた「ベースラインケース」から成る。成長実現ケースでは2020年度以降、実質2%、名目3%以上の経済成長が達成できると想定している。

財政については、19年10月に消費税率を10%に引き上げるものの、幼児教育の無償化などが影響して20年度の基礎的財政収支(PB)は対GDP比で1.8%(10.8兆円)の赤字が残る。しかし、堅調な経済成長に支えられて27年度にはPBが黒字化する見込みだ。また、金利が当面、成長率を下回る水準で推移する結果、国・地方の債務残高の対GDP比は、17年度の190%から27年度に約160%まで低下する。

ただし、今回の試算は27年度までにとどまる。経済の回復に伴い、20年代後半には金利が成長率を上回り、その後上昇に転じることだろう。

アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP