法政大学教授 水野和夫(みずの・かずお)1953年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、内閣府大臣官房審議官などを経て、2016年から現職。(撮影:尾形文繁)

日本が移民を解禁する必要はない。人手不足だから、外国人を受け入れなければ経済成長できない、というのが移民解禁を主張する人の論点。だがこれまで日本経済の成長を支えてきた、近代資本主義の条件はもう崩れている。つまり、経済成長そのものがもう無理なのだ。

近代資本主義は経済的に未開拓の地へと広がっていくことで、経済成長を実現させた。自由貿易を活溌化させるために、労働者が短期間で職業を替えることも容易だった。たとえば16世紀の英国は毛織物の輸出に力を入れたほうが得となったときに、ワインはポルトガルからの輸入に委ねた。自国のワイン工場の労働者が毛織物工場に移ることはそんなに難しくなかった。それは産業が高度化していなかったからだ。