観察と表現は、表裏一体の関係にある。観察した内容を的確に表現することができなくては、観察の結果が他者に伝わらない。川喜田二郎氏は、人間行動の観察に関して、七つの着眼点があると指摘する。この着眼点をできるだけ正確に、しかもわかりやすく表現する技法を身に付けなくてはならない。

それでは、七つの着眼点について、順番に見ていこう。

〈第一は「類型的行動」である。人間の行動は、あるまとまりを持った単位に区切ることができる。すなわち、ひとまとまりの行動である。この単位的な行動は、これを類型的にまとめて表現することができる。たとえば、散歩、食事、出産、討論、恋愛、お祭り、農耕、戦争、など。そしてこういう類型化された行動に対して、当事者たちはさまざまの名前を与え、概念を用意している。それでこのような類型化された行動の名前とか概念とかについて、調査しなければならない。〉(川喜田二郎『発想法 改版』中公新書、2017年、38~39ページ)

人間は群れを作る動物だ。散歩、食事、恋愛、戦争などの人間の行動にも、群れごとの独自の特徴がある。これを文化と言い換えてもいい。人間行動の類型的な見方とは、文化の差異を重視するということでもある。

人間の行動だけでなく、複雑な歴史的出来事(これも人間行動の集積である)を観察するときにも役に立つ。たとえば、キリスト教について観察する場合に、この類型的な見方が有益だ。