別府の鉄輪温泉。かつて社員旅行の定番だったが、今や外国人など個人客が押し寄せる(tokomaru7 / PIXTA(ピクスタ))

別府温泉といえば、日本人なら誰もが知る温泉の代名詞のような存在だ。別府温泉という名称は、大分県別府市内に存在する数百にも上る温泉の総称。「別府八湯」と呼ばれる別府、浜脇、観海寺、堀田(ほりた)、明礬(みょうばん)、鉄輪(かんなわ)、柴石(しばせき)、亀川などの温泉が代表的で、湯の湧出量では全国1位を誇る。

その名が全国に知れ渡ったのは、「別府観光の父」とも呼ばれる実業家、油屋熊八氏の功績が大きい。1900年代初頭、彼は「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というキャッチフレーズを考案。全国を行脚して立て札を建立し、別府温泉を多くの日本人に知らせた。

しかし、時代が移って平成に入ると、別府温泉への観光客数は大きく減少した。原因は国内旅行客のニーズの変化だ。別府は静岡の熱海温泉などと並び、社員旅行などの団体旅行で潤ってきたが、徐々に団体旅行が減り、個人旅行へとニーズが移ったのである。