「課題図書を指定します」

「何ですか、それ?」

「『ロウソクの科学』という本です。ファラデーというイギリスの有名な科学者の著書で、子供も聴きに来た講演をまとめた一冊なのでわかりやすい。ろうそくになぜ火がつくのかを解説しています」

これは、私が小学校6年のときの理科の授業での話である。

私はその本を読まなかった。本を読む習慣もなければ興味もないし、先生や親の勧めることをすると、どういうわけだか敗北感を覚えるタイプだったからである。

しかし、読まなかった最大の理由は、「そんなことを知って何になるんだ」と思ったからだ。ろうそくはあるし、火はつくんだし、それで十分じゃないか。理由を突き止めたところで、何か新しいものができるわけでもなく、ただ「へぇ、そうなんだ」で終わるだけじゃないか。という疑問があったからである。