産業と社会にイノベーションを起こし、高い企業成長を実現する。そんなエクセレントカンパニーを生み出すことは難しい。もっと難しいのは、旬を過ぎたと思われた企業に、再び輝きを取り戻させることだろう。それを見事に成し遂げているのが、3代目CEO(最高経営責任者)のサティア・ナデラ氏が率いる米マイクロソフトだ。

停滞期を経て高まる成長期待

世界株高が進行した2017年。年末時点の時価総額世界トップ5は、米アップル(8608億ドル)、グーグルの親会社・米アルファベット(7294億ドル)、マイクロソフト(6599億ドル)、米アマゾン(5635億ドル)、米フェイスブック(5127億ドル)だった。

いずれも、IT分野のガリバー企業で、頭文字を取って「GAFAM」と呼ばれる企業群だ。AI(人工知能)やフィンテック、IoT(モノのインターネット)といった先端分野に期待が集まり、00年のITバブル期以来の「テクノロジーの春」を謳歌している。

ITバブル期に世界トップ5に入っていたのは、この5社のうちマイクロソフトただ1社。00年3月末、マイクロソフトは時価総額5530億ドルで世界首位。以下には米シスコシステムズ、米ゼネラル・エレクトリック、米インテル、NTTドコモが続いていたが、これら4社は17年にはトップ10圏外に姿を消している。

マイクロソフトもこの高みの後、長期にわたり株価が伸び悩んだ。特に、スマートフォンが世界的に浸透し始めた10年以降は、モバイルコンピューティング市場でのビジネス展開に出遅れ、その停滞感が株式市場での評価にも反映された。

株式市場での評価は、収益性と成長性がカギだ。マイクロソフトは高い収益性を維持したが、成長性には欠けていた。パソコンやサーバー向けのソフトを収益源とするマイクロソフトは、テクノロジー企業としては時代遅れ──そんなムードが投資家の間に広がった。