【今週の眼】三品和広 神戸大学大学院教授
みしな・かずひろ●1959年生まれ、愛知県出身。一橋大学商学部卒業。同大学大学院商学研究科修士課程修了。米ハーバード大学文理大学院博士課程修了。同大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て現職。著書は『戦略不全の論理』など多数。(撮影:梅谷秀司)

気が早いのを承知のうえで、今年を定義づける特徴を占ってみよう。私の眼に映るのは、資本主義の退潮である。もう一歩踏み込んで、社会主義の復権と言い換えてもよい。

経済体制には財産所有と資源配分の二面があって、その両面で技術革新の波が資本主義に襲いかかっている。その帰結と含意を考え始めたほうがよいのではないかという気がしてならない。

所有については、資本主義は財産の私有を基本とする。当たり前に聞こえるが、チャーチルからサッチャーまでの英国は基幹産業を国有していた。日本も、ガバナンス改革を通して企業の私有化を徹底する途上にあるが、「企業は社会の公器」という社会主義の発想が色濃く残っている。