有料会員限定

川喜田二郎の発想法で表現法を学ぶ(5) メモに不可欠な4条件

✎ 1〜 ✎ 145 ✎ 146 ✎ 147 ✎ 最新
拡大
縮小

「野外観察」をしても、その内容が正しく記録されていなければ意味がない。ビジネスパーソンでも、自分の記憶力に自信があるのか、他人の話を聴いていてもメモを取らない人がいるが、こういう記憶は不正確だったり、変容してしまうことがよくある。メモを取る場合には、ポイントになる事項を外してはならない。川喜田二郎氏は観察事項について四つの条件が必要になると指摘するが、これはメモ取りや報告書作成においてもとても重要になる事項だ。川喜田氏の記述を見てみよう。

〈さて、いかにしてものごとを観察するか。この観察方法については、いくつかの基本的な注意が必要である。まず、どんな観察事項も次の四つの条件を備えていなければならない。それは(1)とき、(2)ところ、(3)出所、(4)採集記録者についてである。つまり、観察し記録するにあたって、それはいつ、どこで、どういう出所から、だれが観察し、記録したかを書きとめることである。この四条件をはっきり備えていない観察事項は、科学的な資料として扱ってはならない。これはまったくかんたんな注意ではあるが、野外研究のルールとしてこういうことすらいままではっきりと書いてある本はあまりなかった。以上の四項目のひとつが抜けても、その記録は科学者が扱うべきものではないという注意すら書いてあるものはすくない。〉(川喜田二郎『発想法 改版』中公新書、2017年、36ページ)

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内