問題設定の段階で、各人は無意識のうちに問題の構図を描く。これを川喜田二郎氏が述べる「内部探検」というブレーンストーミングを通じて、互いの構図の差異について認識しておく。

川喜田氏の手法が優れているのは、この段階で問題の構図をメンバーの間であえて一致させないことだ。互いの認識の差異について了解しておく段階にあえてとどめている。そうして、発想の幅を狭めないようにしているのだ。認識の差異について了解しておくことの重要性について川喜田氏はこう述べる。〈そこで、くいちがったままで、問題を共通に確認したと思って動きだす。その結果、仕事のチームワークの上で重大なくいちがいを生ずる場合がよくある。そして、「こんなはずではなかった」ということになる。はなはだしいときには、おたがいに相手をののしりあうことになってしまう。これこそ、問題提起のためには、頭の中の内部探検がいかに必要であるかを、あからさまに物語る場合である。かりにこのようなもめごとがおこらなくても、問題のとらえかたが全員で一致している場合には、チームワークはその努力の結集点をつかむことになる。その結果は、これを怠った場合にくらべて、いちじるしい成果の相違を招くことにもなる。〉(川喜田二郎『発想法 改版』中公新書、2017年、31~32ページ)

コレクティブ・インテリジェンス(集合知)を形成するためには、チームワークが重要だ。このチームワークを維持しつつ、幅広い発想を得るためには、互いの差異を認める寛容性が必要なのである。寛容の原理を採用しているチームは結束力が高くなり、高い成果を上げることができる。