30年前のことだ。英政府でアフリカ・アジアに関する閣僚級の職責を担っていた私の同僚は、世界地図を上下反対にして執務室に掲げていた。そうすることで、当時「第三世界」と呼ばれていた地域が抱える問題に対する理解が深まるのだと彼は力説していた。だが、英国から見て本当に地球の反対側に位置しているのは豪州だ。子供たちは学校でこう教えられたものだ。地球を真っすぐに貫くトンネルを掘ったとしたら、たどり着くのは豪州だと。

豪州は活力ある民主主義国家である。法の支配や、自由で開かれた社会というものが深く尊重され、全世界からの移民や難民にとって安息の地となってきた。しかし、この賞賛すべき国は今、存在意義にかかわる難題に直面している。