もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

今年は日本銀行の正副総裁3人が任期満了を迎える。5年前の就任時における各人の発言を振り返ってみると、隔世の感がある。5年前に最も話題に上ったのは、岩田規久男副総裁の「2年でインフレ2%を達成できなければ責任の取り方は辞職だ」という発言であった。岩田副総裁はこのままいけば任期を全うすることになりそうだが、ここで一個人の進退をどうこう言っても生産的な議論にはならない。

あらためて5年前の就任会見時の岩田副総裁の主張を整理してみると、次のとおりであった。(1)インフレ、デフレは貨幣的現象だが、足元のマネーストック(経済全体に供給される通貨の総量)と物価上昇率に関係があるわけではない、(2)インフレ予想を起こさなければデフレを脱却できない、(3)インフレターゲット(物価目標)政策がデフレ脱却には不可欠。