先進医療特約は月々100円程度と低額。ただ、同特約に入っているがゆえに、本来必要のない治療を受ける例が後を絶たない。「『先進医療特約に加入しているなら』と医師に勧められて多焦点眼内レンズにしたが、手術後にどうも目が疲れる」「『先進医療』というから最先端技術だと思ったのに、多焦点レンズにしたら物が見えにくくなった」……。認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の山口育子理事長の元には、高齢者からそんな相談が寄せられている。

多焦点レンズは白内障手術で用いられる。目の中の水晶体を砕き、人工の眼内レンズを挿入する。近くか遠くかに水晶体の焦点を合わせる単焦点眼内レンズに対し、多焦点レンズはどちらにも焦点が合うというのが売り文句だ。

ただし多焦点レンズは医療上の効果が十分に実証されたわけではなく、現段階では健康保険が利かない「先進医療」の位置づけ。先進=医学的に優れた技術というわけではないことに注意が必要だ。

「特約があるがゆえに、安易に多焦点レンズを選ぶケースがあるとすれば問題だ。『医療技術には不確実性と限界がある』ことを先進医療特約でこそ説明すべきだ。先進医療という言葉の響きに惑わされて、『いい技術を提供される』と誤解してはいけない」と山口氏は警鐘を鳴らす。

宣伝に使われるのは高額なほうの先進医療