イスラ・ネグラの石のスープ。イスラ・ネグラはバルパライソ近くの海岸の名

「チリのバルパライソだよ」とY氏は即答した。5年間かけて世界中を旅したY氏にいちばんよかった所を尋ねたときのことだ。それから十数年にわたり、バルパライソという名が頭の片隅にあった。

2017年12月、ソウル発8万4600円の世界一周航空券を使って、そのバルパライソを訪れた。

バルパライソはサンチアゴの西約120キロメートルの太平洋沿いにある。南米最大の港湾都市として栄えたが、パナマ運河の開通により衰退した。

「天国の谷」を意味するバルパライソは海岸近くまで崖が迫っており、色とりどりの住宅がその斜面を覆い尽くしている。この斜面の上り下りのため、アセンソールと呼ばれるケーブルカーが19世紀半ばから20世紀初頭にかけて数十基造られ、今でも6基が住民の足として活躍している。