プロダクトデザインの第一人者である深澤直人氏。世界的なデザインコンサルティング会社であるIDEOでの勤務経験があり、無印良品を運営する良品計画のブランドコンセプトを維持するアドバイザリーボードのメンバーの一人でもある。そんな彼には、国内外の経営者からの「企業の成長について一緒に考えてほしい」という依頼が増えているという。

ふかさわ・なおと●1956年生まれ。多摩美術大学卒業後、IDEOなどを経て2003年独立。電子精密機器や家具・インテリアなど、手掛ける領域は多岐にわたる。(撮影:風間仁一郎)

──デザインやアートを重視する考えは経営の中に浸透してきていますか。

アートがビジネスに寄っているのではなく、ビジネスがアートに寄ってきている。賢い経営者は最後に極めなければならない感覚的なところがアートにあると見ているようだ。数字の動きを見ながら何かを生み出す分析論理型のビジネスではなくて、何らかのビジョンがあり、それをどう実現するかを考えている。

だから私のところに「この人の感覚器を使えば、感じ取れる」と思って依頼が来る。私は経営者の代理として、感じ取ったことをぶれることなく細部に至るまで具体化して伝える。そこにあいまいさがあってはいけないし、最終的にはサイエンス、つまり数字の裏付けも入る。それなのにアートはあいまいでよくわからないものと誤解され、サイエンスとは切り分けて考えられている。

芸術家であり、科学者でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチが持っていたような、総合的なクリエーティブ能力に大きな価値があると気づいた人たちはすでに動きだしている。その中からビッグビジネスも生まれている。だからビジネススクールでアートを学ぶ、エンジニアがアートに精通するといったトレンドになっている。

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