アートやデザインをビジネスに生かすには、生まれ持ったセンスがなければ難しいと考えがち。だがユニクロやセブン-イレブン・ジャパンなど多くの企業のブランド戦略を手掛けるクリエーティブディレクターの佐藤可士和氏は、物事をロジカルに分解して考えることが重要だという。

さとう・かしわ●1965年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。博報堂を経て2000年独立。同年クリエーティブスタジオ「SAMURAI」設立。(撮影:今 祥雄)

──クリエーティブやデザインといったアート的な考え方と企業経営に親和性はありますか。

一見親和性がないと思われるが、イノベーションを起こすためにはクリエーティブな考え方や発想が欠かせない。正しいロジックだけを積み上げていくと消費者に響かなかったり、競合とやることが同じになったりする。効率性だけを追求すると、規模の大きな企業が勝つか、あるいは価格競争に陥る。それは完全なレッドオーシャン(競争の激しい既存市場)だ。

デザインは課題を解決する一つの手法だ。たとえば路上でドライバーに交通ルールを伝えるという課題を解決するためにデザインされたのが赤、青、黄の信号機だ。単に色を塗ったり形を整えたりすることが本質ではない。