東京下町を中心に大衆酒場を紹介するBS-TBSの人気番組「吉田類の酒場放浪記」は15年目に突入した。ガイド役の酒場詩人、吉田類氏に酒場から見える日本社会の変化について聞いた。

よしだ・るい●1949年、高知県生まれ。酒場や旅をテーマにイラストレーター、エッセイストとして活動する傍ら、俳句愛好会「舟」主宰。2018年1月に新著『酒は人の上に人を造らず』(中公新書)を刊行予定。(撮影:尾形文繁)

──もはや社会現象といえる人気です。

内容が緩いから、緊張感なく見られるのでしょう。最近は、夫婦で見ている、子供と見ているという話をよく聞くし、実際、移動中に声をかけてくれるのは若い人が多い。

──「酒場」は「居酒屋」とは違うのですね。

仲間同士でテーブルを囲む居酒屋に対し、酒場はまったく知らない人同士が偶然一つの家族みたいに過ごす場所。これまで世界中で飲み歩いたけど、日本の酒場みたいなところはなかった。この珍しい大衆酒場文化が外国人観光客にも受け、新宿のゴールデン街をはじめとした横丁の酒場は、どこも国際化している。

──酒場経験がない人は最初は躊躇しがちです。うまく溶け込める秘訣は?

気負わないのが一番。僕も初めての店は気配を消してすっと入り、気がついたら懐に入っているような感じにしている。視線が合えば「乾杯」とやれば大丈夫。臆することは何もない。