Interview|日中友好協会会長 元中国大使 丹羽宇一郎
反中嫌韓は移ろいやすい

にわ・ういちろう●1939年愛知県生まれ。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事に入社。98年社長就任。2010年に民間出身者として初の中国大使に就任。(撮影:今井康一)

中国共産党は2021年に設立100周年、2049年に新中国建国100周年を迎える。習近平・国家主席は1840年のアヘン戦争以来、世界の帝国主義に蹂躙(じゅうりん)された自分の国を取り戻す、捲土重来を期すという思いを持っている。彼は「中華民族の夢」として、49年ごろにも経済規模でも米国を凌駕し、名実ともに世界一になると言っている。

日本、豪州、米国、インドは南シナ海などで中国包囲網を敷いている。中国の膨張を、無視できないのだろう。とはいえ、中国が今の政治体制のままで「中華民族の夢」を達成できるかというと、それは難しいと思う。米国に代わって「パックス・シニカ」(中国による平和)の時代を迎えるか。中国は量や力だけで世界の信頼は得られないだろう。

一方の日本はどうか。日米地位協定をはじめとして、軍事面では米国の後をついていったまま70年近くを過ごしてきた。原爆の被害を受けた唯一の国であるにもかかわらず、7月に国連で採択された核兵器禁止条約交渉に参加しなかった。被爆者団体などは涙を流して悔しがっている。日本は世界の信頼を失う。