2017年春闘で、各社の回答をボードに書き込む金属労協の担当者(時事)

時の首相が「3%賃上げ」を要請する異例の春闘がまもなく始まる。

アベノミクスによる景気拡大局面は17年9月に58カ月を記録、いざなぎ景気を上回った。企業の業績も好調に推移する。一方で、賃金の伸びは限定的で、実質賃金は低迷している。安倍政権下で賃上げは改善したものの、厚生労働省がまとめる「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば15年に2.38%を記録して以降、16年2.14%、17年2.11%と2年連続で賃上げ率は低下している。

こうした状況を受け、安倍晋三首相は17年10月、18年度春闘に向けて「3%の賃上げ」への期待を表明した。安倍政権はこれまでも経済界に賃上げ要請を行ってきたが、具体的な数値に言及するのは異例だ。「官製春闘」の意味合いが強まっている。

加えて優遇税制も導入する。大企業では1人当たり前年度比3%、中小企業では同1.5%賃上げすることで、法人税負担を最大20%減らすことができる。18年から法人税の実効税率は29.74%まで引き下げられるが、賃上げや設備投資を組み合わせることで、実質的な税負担は最大20%程度まで引き下げることが可能になる。

労働需給は逼迫している。17年10月の有効求人倍率は1.55倍と、1974年以来の水準だ。失業率は2.8%で、3%程度を構造的失業率とすれば、完全雇用状態にある。