(撮影:尾形文繁)

「夢の超特急」に泥を塗った責任は重い。

東京地検特捜部は12月8日夜、偽計業務妨害の疑いで大手ゼネコンの大林組の本社などを家宅捜索した。

問題となったのは2027年に開業を予定するリニア中央新幹線での入札だ。名古屋城付近での立坑「名城非常口新設工事」で、他社ゼネコンが入札しないよう大林組が調整を図り、談合を行った疑いが浮上している。

落札金額は3社が組んだ共同体で推計90億円程度と小さい。良好な事業環境の中、なぜそこまで受注にこだわったのか。

大林組は三菱重工業とトンネル工事用の省エネシールドマシンを共同開発するなど、シールド工事に強い。受注した名城非常口は地下約90メートルまで掘削し、その後名古屋駅へと掘り進める。得意のシールド技術を生かせるうえ、別に受注した名古屋駅(中央西工区)の工事との一体化も図れる。同社は品川駅(南工区)の工事も受注している。

実はリニア工事の採算は悪い。「品川駅の工事では、JR東海の見積もりが厳しく入札が不調になったことがあった」(ゼネコン幹部)。そのため、受注調整によりできるかぎり競争を避けようとする動機が生まれる。

特捜部は鹿島、大成建設、清水建設にも任意で事情を聞いており、捜査の手は大手4社に及ぶ可能性がある。「一部は受注調整への加担を認めたようだ」(別のゼネコン幹部)。

実際、落札済み工事を見ても、山岳工事が得意な鹿島と大成建設は南アルプスのトンネル工事という難工区、土木技術で後れを取る清水建設は中小規模の土木工事や駅舎建築など、“すみ分け”ができている。