百貨店大手・J.フロント リテイリングの財務担当取締役・若林勇人氏は、経営会議の席で、ある違和感を抱いていた。2015年5月、電機大手・パナソニックから転じてすぐのことだ。

J.フロントは、利益を示すPL(損益計算書)については深く細かく、徹底して検証している。ところが、「BS(バランスシート、貸借対照表)については、ほとんど議論していない」。

メーカーと違い、百貨店は現金での収入が多く、売上債権の回収期間が短い。現金の不足を心配することが少ないため、BSについての議論は浅くなりがちだ。だがJ.フロントは、「脱百貨店経営」を掲げ、資産効率を高めるビジネスモデルを追求している。ROE(自己資本利益率)を21年度に8%以上へ引き上げることが中期目標だ(16年度は7.6%)。

「ROEの引き上げを目標にするのであればBSの検証なしではありえない」。若林氏は決意した。「社員の意識改革を促すために財務で革命を起こそう」──。

J.フロント リテイリング 取締役執行役常務 若林勇人(撮影:梅谷秀司)