富士フイルムホールディングス(HD)の会長兼CEO(最高経営責任者)であり、6月から富士ゼロックスの会長にも就いた古森重隆氏。今回の不正会計をどう総括し、今後の成長戦略をどう描いているかを聞いた。

こもり ・しげたか●1939年旧満州生まれ。東大経卒。63年入社。2000年社長、03年社長兼CEO。12年から現職。(撮影:尾形文繁)

──富士ゼロックスの不正会計をなぜ富士フイルムHDは防げなかったのでしょうか。

富士ゼロックスは富士フイルムHDの売上高の40%以上を占める大きな会社で、複写機業界でリーダーシップをとるすばらしい会社だ。そこに「うちも調べさせてくれ」とは、普通は言わない。立派な会社だから。

取締役会には、私も含め富士フイルムHDの人も入っている。そこで大まかな人事案や販売計画など重要な案件が決定される。子会社の細かな話は出てこないが、それで管理できていると思っていた。そういうガバナンスだった。

だが、それは怒られた。東証に。怒られたというか、「あなたたちが悪いから、ちゃんと見ていないからこういうことになった」と言われた。言われてみればそのとおりだ。だからグローバル監査部というのを設置して、世界中の子会社も監査するようにした。

富士ゼロックスも全体が緩みっぱなしというわけではない。ニュージーランドとオーストラリアの法人は1990年にゼロックスから買った新しい会社で、富士ゼロックスは西洋人の扱いに慣れていなかった。それに乗じる人間もいたということだ。

──今回の不正会計をどのように知りましたか。

本当に大きな問題だということを認識したのは、今年3月、会計事務所が富士ゼロックスに送った(不正会計を指摘する)レターの写しが、富士フイルムHDにも来たときだ。僕と助野(健児・富士フイルムHD社長)が富士ゼロックスの代表取締役を呼んだが、「大きな金額じゃありません。10億か20億か30億円くらい訂正すればいいので、ほかの売り上げ増などで補える」という答えだった。

そこで二つの問題が起きたとわかった。会計の問題が起きたことに加えて、真実を伝えないというミスジャッジメントがあったことの二つだ。だから4人の役員に辞めてもらった。栗原(博)くん(当時も今も富士ゼロックスの代表取締役社長)は、この問題がわかったときに社長だったが、重なっている期間は少しだけだ。海外は副社長が見ていて、栗原くんは国内を見ていたと聞いている。