「ピンチをチャンスに変える。富士ゼロックスに富士フイルムの血を入れて、もっと積極的に関与していく」と語るのは、富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長だ。

今年4月、株式市場に衝撃が走った。富士フイルムHDが「子会社富士ゼロックスが利益を過大計上していた可能性があり、決算発表を延期する」と公表したのだ。翌日の同社の株価は一時前日比5%安の3966円へ急落し、出来高は前日の約8倍に膨らんだ(12月13日終値は4668円)。

6月10日に公表された第三者委員会の調査報告書はもっと衝撃的だった。「架空の売り上げ計上」「不正会計の隠蔽指示」「売り上げ至上主義のあまり従業員に過度のプレッシャー」「倫理観や誠実性の欠如」……186ページに及んだ報告書には厳しい言葉が並んだ。

12月11日には東京証券取引所に求められて「改善報告書」を提出した。事件後の改善措置について説明が必要だったのだ。

不正会計の舞台はニュージーランドとオーストラリアだ。2004年から富士ゼロックス・ニュージーランドの社長だったニール・ウィッタカー氏は、売上高の目標達成率が高く、年間最優秀マネージング・ディレクター賞を3度受賞。15年4月には、より規模の大きな富士ゼロックス・オーストラリアの社長に就いていた。

しかし、ウィッタカー氏が両社で伸ばした売上高の一部は不正に積み上げられたもので、後に退職を勧告された。富士ゼロックスでは、機器の売り上げを計上するには、販売後に一定以上のコピー枚数が見込めるなど、規定の条件をクリアする必要があった。しかし、ウィッタカー氏は、予想されるコピー枚数を過大に見積もり、不正に売上高を計上していた。このほか消耗品在庫など多岐にわたる不正会計を実行。富士フイルムHDの10~15年度の純利益は累計で281億円過大に計上されていた。