トイレタリー用品の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は世界最大の広告主だ。同社の最高ブランド責任者が2017年1月、米国の広告業界の会合でスピーチし、アドフラウド(広告詐欺)をはじめとするインターネット広告の問題を厳しく批判。取引を希望するすべてのメディアや代理店などに透明性を保証する証明書などの提出を義務づけると明かした。ネット広告市場において、過去最も影響力の大きい発言となった、この講演を要約して掲載する(要約に際しては専門用語を平易な言葉に置き換えるなどの編集を行った)。

プロクター・アンド・ギャンブル 最高ブランド責任者 マーク・プリチャード
Marc Pritchard●米インディアナ大学卒業後、1982年P&G入社。2008年からマーケティングやブランディングに携わる。14年から現職。
米国ネット広告団体の年次総会でのプリチャード氏の講演は、ユーチューブ上で公開されている

インターネット技術によって、大量の“ゴミ広告”がもたらされている。この会場にいる企業は皆、消費者に毎日大量の広告を浴びせ、広告を表示するのに限りなく長い時間を使わせ、ポップアップ広告でコンテンツの閲覧を妨害している。広告をブロックする消費者が急増しているのも当然。ネット広告を実際に見ている消費者は、はたしてどれだけいるのだろうか。

ひるがえってネット広告におけるサプライチェーンは、よく言っても不透明、悪く言えば詐欺的だ。広告のビューアビリティ(視認可能性)を確保するための統一基準はなく、フェイスブックやツイッターなどプラットフォームによって異なる。広告代理店へのリベートなど時代遅れの取引慣行も存在している。また犯罪者の搾取に利用されてしまう抜け道が多く、広告主は時間とおカネを使いすぎている。