週刊東洋経済 2017年12/23号
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市場の急成長が歪みを生み出した

ウーバーvs. 電通子会社 「これは広告詐欺だ」

「モバイルでのわれわれの経験と電通グループのスケールを生かし、日本の広告主に比類ないサービスを提供する」。自信に満ちた言葉が、ピンクと黒を基調としたウェブサイトに躍る。電通子会社の英フェッチメディアが12月1日、日本で事業を展開すると発表した。

フェッチは2014年11月、同じく在英子会社の電通イージス・ネットワークに買収され(金額は非公開)、電通の傘下に入った。スマートフォン向けの広告配信などモバイルマーケティングの戦略と分析を強みとする新興企業で、ジェームズ・コネリーCEOは、現地のモバイル市場で最も影響力のある人物という触れ込みだ。

拡大が続くインターネット広告市場にあって、モバイルは特に成長著しい。電通もモバイル領域の強化を成長戦略と位置づける。だが実は、重要な役割を担うフェッチが「広告に絡む詐欺を看過・助長し、甚大な被害を与えた」として、顧客企業から損害賠償請求訴訟を起こされている。

経済的損失は56億円「懲罰的賠償を求む」

訴えたのはライドシェアの世界最大手、米ウーバーテクノロジーズだ。フェッチによって5000万ドル(約56億円)の損失を被ったとして、9月中旬、米カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所へ提訴した。賠償金の請求額は明示していないが、訴状で「punitive damages(懲罰的損害賠償)」を求めると複数回言及している。

懲罰的損害賠償は英米法特有の概念。被告の行為が社会的責任などの観点で強い非難に値する場合、制裁の意味を込め、実際の損失より大きい賠償額の支払いを裁判所が命じることだ。今回、裁判所がこれを命じるかは未知数だが、ウーバーの強い憤りがうかがえる。

ウーバーの訴状。電通子会社のフェッチに、懲罰的賠償を求めている

訴状によるとウーバーは15年1月、フェッチと広告キャンペーンの契約を締結。さまざまなウェブサイトに広告を配信し、ウーバーのアプリをダウンロードしてもらうよう誘導する内容だった。

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