ささき・とおる●2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

2017年のドル円相場のレンジはこのまま1ドル=107.32~118.60円で終わりそうだ。年間の変動幅は率にすると9.5%となる。1年のドル円相場のレンジが10%以内に収まるのは比較的珍しく、1980年以降で見ると3回しかない。

年初来の主要10通貨の騰落率を見ると、今のところ米ドルは下から2番目に弱く、円は下から4番目、ほぼ中位にとどまっている。今年はどちらも冴えない通貨同士だったことがドル円相場のレンジを小さくしたといえるだろう。

実際、17年は総じていえば円にあまり興味が集まらなかった。金融政策の変更もなく、パフォーマンスも特に目立ったところがなかったためだろう。17年は最強通貨だったユーロや2番目に強かった英ポンドに注目が集まり、両通貨を担当している筆者のロンドン在住の同僚は忙しそうだった。

JPモルガンのグローバル為替リサーチチームは、毎年、11月末の感謝祭の休暇前に翌年の為替相場見通しを執筆し、休暇明けから顧客に説明して回る。今年も日本では筆者が、海外では同僚がそれぞれ為替相場見通し全体を、各国・地域の顧客に説明して回っているが、そんな中、ロンドン、ニューヨークの同僚が口をそろえて、「18年の見通しを顧客と議論していると、半分くらいは円の話になる」と言っているのだ。

海外勢が円に注目し始めているのは、来年日本銀行の金融政策が表面的にせよ、引き締め方向に向かうのであれば、実質的に歴史的な割安水準にある円が大きく上昇する可能性があるのではないか、と考えているからだ。