かつては日本を住友ゴム工業が、欧米を米グッドイヤーが担うというすみ分けがあった。われわれも欧米で商売をしたかったが、それぞれのエリアでは開発拠点や生産拠点を持てないという決まりがあり、われわれに遠慮があった。2015年10月の提携解消以降は、欧米で原則「ダンロップ」ブランドを使えないものの、そうした制約がいっさいなくなった。

グッドイヤー向けの米国でのOEM生産は、18年中に契約が切れる。そこで空いた生産能力を「ファルケン」ブランドの拡充に充てる。これまではダンロップが当社の主力ブランドで、ファルケンは2番手という位置づけだった。ただ近年、ファルケンは欧米で伸びており、ブランド力をしっかり向上させていく。

いけだ・いくじ●1956年香川県生まれ。79年に京大工学部を卒業し、住友ゴム工業入社。タイヤ生産技術部長など経て2011年から現職。世界中の拠点を飛び回る日々を送る。(撮影:ヒラオカスタジオ)

もう遠慮する必要はない 欧米でも勝負していく

──具体的にどのような策を講じていくのでしょうか。

欧州では、サッカーやカーレースをサポートすることでファルケンのブランドイメージ向上に力を入れている。特に大事なのは車雑誌におけるタイヤの評価だ。ここで高得点を得たことで、ドイツではファルケンの売れ行きが好調に推移した。英国では現地で2番目に大きいタイヤディーラー網を持つ企業を17年2月に買収した。シェアを確実に上げていきたい。

他方、米国ではSUV(スポーツ多目的車)の人気が高く、生産が追いつかないほど売れている。ニューヨーク州のバッファロー工場は現在1日5000本を生産しているが、19年には1万本の生産体制に持っていく。ただ、足元の需要を踏まえると、1日2万本でも足りない印象だ。さらに工場を拡張するのか、新しい工場を建設するのかは、今後の判断になる。

欧州と米国ではタイヤのニーズも異なる。米国では大型車の人気が高いので、欧州で作ったタイヤを米国に持っていっても売れない。開発部門を米国とドイツに置いた理由はそこにある。各地のニーズに合わせたタイヤを供給する。