「脱百貨店」を掲げ、財務革命に取り組むJ. フロント リテイリング。構造転換を急ぐ危機感はどこから生まれたのか、山本良一社長に聞いた。

やまもと・りょういち●1951年生まれ。73年大丸入社。2010年大丸松坂屋百貨店社長。13年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

──百貨店業界の今後をどう見ていますか?

業界全体の昨2016年度は厳しかったが、17年度は今のところ順調だ。訪日外国人需要に支えられている。中国や東南アジア諸国からの訪日需要は中長期的に拡大していくだろう。国内の富裕層需要は11年ごろから上昇基調にある。株価に連動した波があるかもしれないが、今後も長いトレンドで“巡航速度”を保つのではないか。

だが、ボリュームゾーンといわれる中間層の需要が厳しい。10月と11月は婦人服の需要が復調したが、本格回復への手応えがあるわけではない。人口減少時代に入り、ICT(情報通信技術)の進化もあって、消費者の購買行動は変化している。百貨店は今、大転換期を迎えている。経営者としては大きく舵を切って、新たな方向性を見つけなければいけない。

──新たな方向性を象徴する新店舗「GINZA SIX」の足元の状況は?

単純な百貨店ではなく、顧客需要に柔軟に対応できる商業施設がよいと判断して、(テナントと定期賃貸借契約を結ぶ)ラグジュアリーモールとして運営することにした。今年4月の開業以降、1日平均入店客数は平日で約4万3000人、土・日・祝日で約6万7000人。このペースでいけば当初目標としていた年間2000万人を超えるだろう。売上高についても当初計画の年間600億円に到達する見込みだ。