「ショーシューリーキィー♪」。外国の少年がアカペラで歌うだけのテレビCMだったが、その力強い歌声に多くの視聴者は心が洗われる思いをした。東日本大震災の直後にこの「消臭力」のCMを企画したのが、エステーのエグゼクティブ・クリエイティブディレクターである鹿毛康司執行役だ。消臭力ブランドは2011年から7年連続でCM総合研究所のブランド・オブ・ザ・イヤーを受賞、今や同社の中核商品でもある。「宣伝の名人」とでもいうべき鹿毛氏の目に、ネット広告の現状はどう映るのか。

かげ・こうじ●1959年生まれ。雪印乳業(現・雪印メグミルク)で、雪印集団食中毒事件や牛肉偽装事件の被害者・マスコミ対応に当たる。2003年エステーに入社。(撮影:尾形文繁)

──ネット広告は今、テレビ広告に迫る勢いで急拡大しています。この流れをどう見ますか。

ネットなら魔法の箱のように何でもできると、日本企業のトップは勘違いしているよね。「デジタルマーケティングはすごい」とどこかで聞いてきて、それで現場に行わせている。だが現場にいる社員は「そこまでの効果はない」と知っているので冷めている。大企業になればなるほどそう。

確かに通販業界ではデジタル化がうまくいった。ネットを使ったダイレクトマーケティングがはまった。その延長線上で、デジタルマーケティングは万能といったイメージが持たれている。

手法論だけでなくインサイトが必要だ