「ここぞというプレゼンテーションだったのに、大恥をかいた」。そう言って憤懣(ふんまん)やる方ない様子なのは、ある女性起業家だ。顧客企業の男性社員に、自社サイトを見せてビジネスプランを説明しようとしたところ、セクシーなブラジャーの広告がいくつも画面に表示されたという。

彼女のビジネスは下着とは無関係。原因はプレゼンの前週に、新しい下着を買おうとインターネットの通販サイトを物色したことだ。プレゼンで表示されたのは、その行動に基づいた広告だった。「確かにブラジャーを探したのは私。だが、あの場面でよりによって下着の広告が出るなんて……」。

ネット上での検索やクリック履歴に基づく広告を「リターゲティング(リタゲ)広告」と呼ぶ。運用型広告の一種で、アドテク分野の主たる手法だ。消費者の関心にある程度沿った広告が表示でき、購入に至る確率が高いとされる。

だがユーザーの中には、ネット検索という個人的な行動が第三者に把握されることに、不快感を覚える人がいる。下着以外にも性的志向や健康問題に関連する広告はデリケートな領域だ。また、すでに購入した商品がしつこく表示されることがあるため、煩わしく思う消費者もいる。

こういった消費者の心理を配慮して、IT界のガリバー企業がリタゲ広告に鉄鎚を下した。

仏のリタゲ世界大手 時価総額4割吹き飛ぶ