大統領就任後、初めて訪中したトランプ氏。11月9日に習近平氏と正式に首脳会談を行った(AP/アフロ)

11月8日から10日にかけてトランプ米大統領が訪中した。全世界の注目を集めた米中首脳会談の成果については、北朝鮮問題への対応をはじめとして、すでにさまざまな論評が公表されている。

経済問題については、エネルギー、航空機、IT産業などの分野を中心に総額2350億ドルに及ぶ商談が成立したものの、具体的な貿易赤字削減の道筋が示されなかったことから、日本のメディアでは「習近平の貫禄勝ち」「米国の劣化を示すものだ」といった見方が大勢を占めているようだ。

トランプ大統領と習国家主席のどちらが「勝利」したのか、といったせんさくにさほどの意味があるとは思えない。しかしあえて言うなら、「グローバル金融資本」こそが、これから始まるであろう新たな米中経済関係における真の勝利者となるのではないだろうか。

ここで注目すべきは、会談の後程なくして、中国政府が国内金融機関に対する外資の出資規制緩和を公表したことである。具体的には、これまで外資による50%超の出資が認められなかった中国国内の証券会社や投資ファンドなどに対し、51%まで外資の出資を認め、3年後には規制が撤廃される。また、同様に銀行に関する外資の単独での出資比率が20%、合計で25%という上限を撤廃すること、さらに生命保険会社についても3年後までに外資の出資比率を51%まで認め、5年後には規制を撤廃することを決定した。

米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、本来、中国政府はこの決定を米中首脳会談の「成果」として公表するべく、1カ月前から米国政府に対し打診を行っていた。しかし、米国政府が積極的な姿勢を示さず、会談後に中国政府が単独でこの方針を公表することになったという。その理由ははっきりしないが、この中国政府の決定について、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど米国の大手金融機関はこぞって歓迎の意を表している。

もちろん、このような規制緩和の動きは、トランプ訪中に合わせていきなり出てきたわけではない。改革派の経済学者として知られる北京大学の黄益平教授らが今年9月にまとめた政策提言「2017径山報告」には、金融市場に対する政府の介入を縮小することとともに、金融機関の効率化と対外投資の促進のために、外資受け入れを積極的に進めていくことが盛り込まれていた。今回の決定は、その提言のかなりの部分が政府に受け入れられたことを意味していよう。