私がハーツユナイテッドグループ(HUG)創業者の宮澤栄一会長から社長就任の打診を受けたのは2017年のはじめごろ。私がこれまで社長を担ってきたファーストリテイリングやローソンとは業界も会社の規模もまったく異なるので正直悩んだ。最終的には宮澤会長の熱意とHUGの高い事業ポテンシャルに感銘を受けて社長就任を決めた。

HUGはゲームソフト向けのデバッグ(不具合を修正する作業)が主力事業の会社だ。これからの10年で、デバッグやシステムテストの市場は間違いなく拡大する。IoT(モノのインターネット)の普及によって爆発的にデジタルデバイスが増えるからだ。03年に世界で5億個だったデジタルデバイスは、20年には500億個になる。そして、それらをつなぐソフトはどんどん複雑化していく。

玉塚元一 ハーツユナイテッドグループ社長
たまつか・げんいち●1962年生まれ。85年に旭硝子入社。2002年にファーストリテイリング社長、14年にはローソンの社長に就任。17年6月から現職。(撮影:今 祥雄)

デバッグ市場は成長する 組織も大胆に変えていく

──HUGの強みは何でしょうか。

創業からの16年間で培ってきたノウハウがある。現在、国内15カ所の拠点に8000人のテスター(主にデバッグを専門とする技術者)を抱えている。この人材を生かすことで、HUGは世の中で必要とされる存在になれる。

宮澤会長もHUGの強みを認識していたが、自分の力だけで会社を次の成長ステージに導くのは難しいと感じていたようだ。そのときに私と出会った。「オーナーとして支えるので、玉塚さんには社長としてHUGの可能性を本気で追求してほしい」という宮澤会長の言葉に心を打たれた。