11月20日、FDPなどとの連立協議の決裂を発表するメルケル首相(picture alliance/アフロ)

ドイツで政治的な混乱が続いている。

きっかけは9月下旬に行われた連邦議会選挙で、メルケル首相の率いる保守政党・キリスト教民主同盟(CDU)が大きく議席を減らしたことだ。その後、姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)、リベラル政党・自由民主党(FDP)、環境政党・緑の党との間で進められてきた連立協議が決裂。ドイツの政治空白は、英国との離脱交渉など難題を抱えるEU(欧州連合)にとって、新たな不安材料となりつつあった。

事態が動いたのは、11月24日。2大政党の一角を占める中道左派の社会民主党(SPD)が、CDU、CSUとの連立協議の受け入れを表明した。SPDは前政権でも連立に参加していたが、9月の選挙で歴史的大敗を喫し、下野の意向を示していた。両党が元のさやに戻ることで、ドイツが安定に向かうとの安心感が広がった。

大連立に根強い不信感

しかし事はそう簡単ではない。SPDの一般党員には大連立に対する不信感が根強い。SPDのシュルツ党首は、連立参加の是非を党員投票に諮る方針を示唆している。12月7〜9日に開く党大会に注目が集まる。

別の攪乱要因も出てきた。EUは11月27日、発がん性が懸念されている除草剤の認可を5年間延長することを決めた。決め手になったのは、前回投票を棄権したドイツが賛成に回ったこと。認可延長に反対してきたSPDは、賛成票を投じることを知らされていなかったとして、CDUに強く抗議している。

難民問題への対処もポイントになる。メルケル首相は今後、難民の受け入れを年20万人に制限する方針。ただ、難民の家族呼び寄せなどをめぐって、両党には意見の隔たりがある。

CDUの姉妹政党であるCSUの動向も気掛かりだ。CSUは9月の選挙の結果が振るわず、12月15〜16日の党大会で党首交代の可能性が取りざたされている。CSUはドイツへの難民の主要な流入経路に位置するバイエルン州の地域政党。党勢回復のために難民政策の厳格化を求めることが予想され、連立協議が難航する一因となりかねない。