もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

株価と長期金利の関係というと、一般的には順相関のイメージが強いと思われる。これに関する「ファンダメンタルズ面」からの説明は、景気拡大期に株価と長期金利は同時に上昇し、後退期には同時に下落するというものである。一方、「需給面」からは、株式市場に資金が流入するときには債券市場から資金が流出するので債券の価格は下がる(金利は上がる)という説明になる。

実際には、株価と長期金利は逆相関あるいは逆行する局面も多い。その場合の「ファンダメンタルズ面」からの説明は、長期金利の低下が将来の景気拡大を促すと予想されて、株価が上昇するというものだろう。ここでは、何らかの力が働いて長期金利が低下することが起点になっており、原因として、中央銀行の役割やグローバルな資金移動といった要素が推測される。この場合の「需給面」からの説明は、株式と債券に同時に資金が流入しているというものなので、やはり中銀の役割やグローバルな資金移動が影響している可能性は高い。

ごく短期間の相関は別にして、現在、世界的に株価と長期金利の順相関はあまり観測されなくなってきている。日本では、長期金利を低位で固定する金融政策が続いており、最近の株価上昇は、日本銀行が促す株価と金利の逆行現象という説明が該当しそうだ。米国も長期金利は低位安定で株高だが、FRB(米国連邦準備制度理事会)の金融政策は緩和から正常化に向かっているので、グローバルな資金フローによる説明のほうが妥当かもしれない。

ちなみに、マイナス金利政策が始まった2016年2月から現在まで、日経平均株価は約50%上昇しているが、日本国債10年物金利はほぼ同水準だ。第2次安倍晋三政権発足の観測が高まった12年秋を起点にすると、現在までに日経平均は約150%上昇しているのに対して、日本国債10年金利は約0.8%ポイントも低下しており、逆行現象が際立つ。一方、米国株のS&P500指数は16年2月から現在までに約40%上昇し、米国債10年物金利も0.6%ポイント程度上昇しているので、この期間では同じ方向に動いている。