うしお・じろう●1931年生まれ。東京大学法学部卒業、米国留学などを経て64年にウシオ電機を設立。経済同友会代表幹事、経済財政諮問会議議員などを歴任し財界でも長年活躍。(撮影:今 祥雄)

規制緩和にしても、経営のグローバル化にしても、その源流をたどると、土光敏夫さんが会長をされた1980年代の第2次臨時行政調査会(土光臨調)に行き着くと思う。実際に土光臨調に加わって改革を推進した私の実感です。

抵抗の大きな案件でも、土光敏夫という大物経営者が一肌脱げば、「彼のような男がやるなら」と周囲を巻き込んだ。土光さんだったから国鉄(日本国有鉄道)や電電(日本電信電話公社)の民営化も実現した。今はそんなシンボリックな経営者はいないでしょう。平成という時代は、経済のリーダー不在の時代だった。

昭和の成長に比べると、「停滞した」「失われた」といわれてきた時代だった。ただ私にはそこまで悪いとは思えない。

デフレ=悪のように見られているが、物価が下がって国民の生活は豊かになった。リーマンショックのときも庶民はほとんど困らず、定期昇給で生活は楽になった。コンビニの質は世界でも誇れる水準に達した。デフレの下でサービスはよくなった。

昨今叫ばれる日本人の貧困化は、一部の出来事を誇張しすぎている。本当にこの国が貧困化しているのならば、モノ自体が売れなくなっているはずだ。