(イラスト:ソリマチアキラ)

今年の日本オープンで、あわやアマチュア選手の優勝か、と思わせたのが、東北福祉大学1年生の金谷拓実だった。もし勝てば1927年第1回大会で優勝した赤星六郎以来の快挙だった。

優勝した池田勇太は、5打リードして最終日を迎えた。5打差というのは、メジャー仕様のセッティングではとても悩ましいストローク差である。安全にパープレーを目指すとボギーを誘発してしまう可能性が高い。逆に攻めていくだけでも、ダブルボギーを誘発する。あれこれと悩ましく思考が乱舞するぶんだけ、自分のゴルフを窮屈にして、がんじがらめにしてしまいがちである。

事実、池田は早い段階でOBを放ってしまい、そこから「自分のスイングが、何が何だかわからなくなってしまった。自信が持てなくなって、どう打っているのかわからなかった」と振り返った。

追う金谷に、1打差と詰め寄られたのが前半と後半にあったが、むしろ金谷のほうが精神的に余裕があった。「勇太さんはずっと調子がよさそうだったから、順位のことより自分のゴルフをやりきろうと、それだけでした」と、胸を借りるつもりでスタートし、淡々とプレーを続けていた。

金谷は15年、17歳のときに日本アマチュア選手権で初優勝し、その年の日本オープンでローアマを獲得している。彼のプレー態度は、背筋を伸ばし、頭をうなだれることもなく、しっかりとした姿勢で歩く。「こうやって歩くことで自分もシャンとした気持ちになれるし、戦っている相手にも喜怒哀楽を気づかれにくいと思っているので、ずっとこういう姿勢でラウンドしています」。